基礎知識
■競技規則
パラリンピックなどの国際大会では、障がいの種類ごとに出場することができる最小の障がい基準(Minimam Disability Criteria/MDC)が定められています。この基準を満たさない場合は、国際大会に参加することはできません。
しかし、日本国内の大会であれば、身体障害者手帳や療育手帳をお持ちであれば、出場することができます。
障がいの種類 | 障がいの概要 | 主な疾患例 |
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筋緊張亢進 | 運動麻痺の一つ。筋肉に常に力が入っていて、コントロールが難しい状態。 力を抜くことが非常に困難。 |
脳性麻痺、脳卒中、後天性脳損傷、 多発性硬化症 |
運動失調 | 運動麻痺の一つ。運動の協調が難しく、動作を円滑に行うことが困難となる状態。 | 脳性麻痺、脳損傷から生じる運動失調、 フリードライヒ運動失調症、多発性硬化症、 脊髄小脳失調 |
アテトーゼ | 運動麻痺の一つ。筋肉のコントロールが困難で、本人の意思とは無関係に常に体の一部が動いてしまう状態。 | 脳性麻痺、脳卒中、脳外傷 |
四肢欠損 | 生まれつき、または事故や病気によって手足の一部または全てを失った状態。 | 外傷もしくは先天性四肢欠損(奇形)による切断他動関節可動域制限 |
他動関節 可動域制限 |
関節の動きが制限され、正常に曲げ伸ばしができない状態。 | 関節拘縮、強直、火傷後関節拘縮 |
筋力低下 | 手足や腹筋背筋などの筋力が低下した状態 | 脊髄損傷、筋ジストロフィー、腕神経叢損傷、 エルブ麻痺、ポリオ、二分脊椎症、 ギランバレー症候群 |
脚長差 | 左右の足の長さが異なっている状態 | 先天的もしくは外傷による片下肢における骨短縮 |
低身長 | 疾患などにより身長の発育に制限があり身長が低い状態 | 軟骨異形成、軟骨発育不全症、軟骨異形成症、発育機能障害 |
視覚障がい | 先天的、または後天的に視力が低下していたり、視野に制限のある状態 | 網膜色素変性症など |
知的障がい | 知的機能の障がいにより認知能力が全般的に遅れた水準にある状態 |
■クラス分け
障がい者スポーツでよく耳にするものに、「クラス分け=クラシフィケーション」があります。
ひとくちに「障がい」と言っても、腕や脚などの身体、または視覚や知的発達など、障がいのある部位や種類はさまざまです。
また、同じ障がいでも、その程度は人それぞれ異なります。「クラス分け」は個々の障がいが競技に及ぼす影響をできるだけ小さくし、平等に競い合うために必要な制度です。陸上競技でも障がいごとにクラスを細かく分け、競技を行っています。
クラス分けのよくある質問 | |
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障がい者のスポーツでよく出てくる「クラス分け」って何ですか? | 障がいには、さまざまな種類や程度があります。それらが競技結果に影響しないよう同程度の障がいで競技グループを形成することを「クラス分け/Classification」と呼んでいます。 |
「クラス分け」の目的は何ですか? | 1)障がいの確認をする。 ・参加が認められている障がい種類か? ・参加が認められている障がい程度か? ・障がいが永続的か? 2)公平に競い合うためのグループを作る。 「障がいが軽い」という理由ではなく、同程度の障がいのある選手同士で競い合うことができるようにグループを作る。 |
「クラス分け」はいつから始まったの? | 1948年から障害の原因となった疾患名を基準にした「医学的クラス分け/Medical Classification」が取り入れられた。その後、1992年から選手の残存している身体機能を基準にした「機能的クラス分け/Functional Classification」が取り入れられ、さらに、2007年からは各競技特有の身体運動やスキルに対するパフォーマンス遂行程度を基準にした「競技特異的クラス分け/Sports Specific Classification」が実施されている。 |
「クラス分け」には種類があるの? | スポーツ毎に必要とされる身体機能や技術はさまざまであるため、クラス分けの規則も競技毎に異なります。 パラリンピックで採用される競技については、IPC(国際パラリンピック委員会)が定めている「国際クラス分け基準/IPC Classification Code」に準じて、各国際競技連盟、国際障がい者団体によってクラス分け規則が定められています。 また、全国障がい者スポーツ大会で使用される「障害区分」と呼ばれる日本国内独自のクラス分け規則もあります。 |
「クラス分け」はどういった手順で行われるの? | 原則として、クラスを持っていなければ大会に出場し、記録を公認してもらうことは出来ません。従って、出場前にクラス分けを受ける必要があります。 クラス分けには以下の3つのプロセスがあります。 ■身体機能評価/Physical Assessment 筋力テスト、関節可動域テスト、協調性テストなどの理学的検査を実施し、参加資格のある障がい種類、程度であるかを判断する。 ■技術評価/Technical Assessment 競技中ならびに日常生活での動作能力を評価し、適切なクラスを判断する。 ■競技観察/Observation Assessment クラス分けを実施した大会の一番最初の出場種目(First Appearance)を観察し、最終的なクラスを決定する。 |
クラス分けは誰がするの? | クラス分けを行うための必要な知識・技術を学び、資格を取得したものを「クラシファイヤー/Classifier」と呼んでいます。 クラシファイヤーには、国際大会でクラス分けを行うIPC Athletics 公認の「国際クラシファイヤー」と、国内大会でクラス分けを行う日本パラ陸上競技連盟 公認の「国内クラシファイヤー」の2種類があります。 また、陸上競技ではクラシファイヤー2~3 名一組(1 パネル)で一人の選手のクラス分けを実施しています。 |
■アンチドーピング
年齢、競技レベル関係なく誰もがドーピング対象となる可能性があります。
ドーピング防止のために必要な情報収集を行い、アンチ・ドーピングを意識しよう!
◆アンチ・ドーピングについて学ぶ
・CLEAN SPORT Athlete Site
https://www.realchampion.jp/
◆使用できる薬剤を調べる
・Global DRO
http://www.globaldro.com/jp-ja/default.aspx
・スポーツファーマシスト検索
http://www3.playtruejapan.org/sports-pharmacist/search.php
※日本スポーツ協会(JSPO)作成「アンチ・ドーピング 使用可能薬リスト」
https://www.japan-sports.or.jp/Portals/0/data/supoken/doc/anti_doping/anti-doping-med-list_2023.pdf
◆治療上必要な薬剤が禁止物質に該当する場合は、TUE(治療特例申請)行いましょう。
https://www.realchampion.jp/what/health/tue/
◆アンチ・ドーピングとサプリメントについて
https://www.playtruejapan.org/code/rule/supplement.html
◆サプリメントは本当に必要? ~サプリメント使用のリスク~
https://www.realchampion.jp/what/health/supplement/
◆国際パラリンピック委員会(IPC)登録者は、以下も必ず確認してください。
・アンチ・ドーピングeラーニング「FAIR PRIDE」
https://www.playtruejapan.org/jada/e-learning.html
・ADEL「国内レベルと国際レベルアスリート教育プログラム:日本語版コース」の公開
https://www.playtruejapan.org/topics/2022/000606.html
◆FAIR PRIDE アスリートインタビュー(動画)
https://www.realchampion.jp/fairprideinterview/index.html
中段にJPA所属 高桑 早生さんのインタビュー動画
◆FAIR PRIDE アスリートインタビュー(リーフレット:PDF形式)
https://www.realchampion.jp/resources/entry_img/fairpride.pdf
【注意喚起】※JADA・重要な案内より抜粋
・吸入ベータ2作用薬のネブライザー使用の禁止に関する注意喚起
https://www.playtruejapan.org/topics/2021/000538.html
・2022年禁止表_糖質コルチコイドにおける禁止内容の変更
https://www.playtruejapan.org/topics/2021/000536.html
・競技会場等で静脈内注入および/又は静脈注射を行う際の注意喚起
https://www.playtruejapan.org/topics/2021/000524.html
◆18歳未満競技者親権者 同意書
詳細はこちら
◆親権者同意書送付先
詳細はこちら
◆以上で解決ができなかった場合の薬に関する問い合わせ・相談について
※日本パラ陸上競技連盟登録の選手に限ります。以下のアドレスへメールでのみ受け付けます。
回答には正確を要するため時間がかかることを予めご了承下さい。
問い合わせアドレス:日本パラ陸連事務局 担当者:松井明里、前川純一
jpa-jimu@para-ath.org