ドバイ2017アジアユースパラ競技大会・陸上競技初日(11日)
日本知的障がい者陸上競技連盟所属の5選手が見事、全選手メダルを獲得する活躍でした。(金メダル3・銀メダル1・銅メダル1)
まず、昨年のリオデジャネイロ・パラリンピック、世界パラ陸上選手権(ロンドン)にも出場した山本萌恵子選手(U20・日本知的障がい者陸上競技連盟)が5分3秒50で金メダル獲得。山本選手は「自分のペースでレースをしようと思っていましたが、出場選手が少なかったので走りづらく走りとしては50点くらい。これからは、もっとスピードをつけていきたいです」と話しました。
男子1500mには、赤井大樹選手(U20・大阪走友会)、岩田悠希選手(U20・one′s Para Athlete Club)、山田怜也選手(U20・山口商店)が出場し、赤井選手が4分10秒65、岩田選手が4分13秒06、山田選手が4分19秒03の金銀銅を独占しました。赤井選手は、「スタートと同時に1人選手が飛び出たが自分のペースを守って行った。途中1000mで苦しかったが、今までお世話になった方々への感謝を思い出しながら、落とさずに最後まで行けた。スタート前のビジョンに映る自分を見て緊張した。メダル獲得できて良かったです。」と話しました。銀メダルの岩田選手は「自己新記録と1位ができなくて悔しかったです。」銅メダルの山田選手は、「初海外レースで緊張したが練習の成果が出せたので満足している。今後はよりアスリートとしての自覚を持ち、日常生活も競技も頑張ります。」
男子走り幅跳びには、小久保寛太選手(U20・埼玉県立本庄特別支援学校)が3回目に6m53で金メダル獲得となりました。小久保選手は「調子は良かったです。何よりも全跳躍、ファールがなかったことがうれしいです。国際大会でも思ったほど緊張しないで競技することが出来ました。」と笑顔で話しました。
同じ陸上クラブチーム「シオヤレクリエーションクラブ」で競技をする吉川琴美選手、竹村明結美選手(共にU20)が女子100m(T37・38)に出場し、竹村選手が14秒77で金メダル、吉川選手が15秒60の銀メダルを獲得しました。竹村選手は「金メダル獲得できてうれしいです。向かい風でタイム的には良くありませんでしたが、最初の出足が良かったのが勝因です」と笑顔で話しました。一方、吉川選手は「スタートで起き上がりが早かった。後半、加速できたことは良かったと思う。」と少し、悔しそうに話しました。2日目には、両選手共に200mで再び対決。吉川選手は「メインは200mなので金メダルを獲得したい」と意気込み、竹村選手は「30秒56を目指して頑張りたい」と話しました。今大会には指導する塩家吹雪代表もドバイ入りして2選手を指導しています。塩家代表は「二人ともしっかり走れていると思います。この調子で200mも頑張って欲しい」と期待を込めて話しました。
男子車いすユース(U18)100mに山本拓海選手(T34 ラ・ストラーダJr)、笹原拓歩選手(T54 北九州障がい者陸上競技クラブ)ジュニア(U20)に脇山陸久選手、木村勇聖選手(共にT54 ソシオSOEJIMA)、が出場しました。
山本選手は21秒61で4位の結果でした。「緊張しました。どの大会でも周りを意識しないような走りをしたいです。」と話しました。
笹原選手は17秒64でユースクラスでは2位の銀メダルを獲得しました。「気持ちが焦ってしまい、中間から伸びなかった。(最終日)400mは自己ベスト目指したいです」と意気込みを話しました。
一方、ジュニアクラスの脇山選手は16秒60、木村選手は16秒87で2位、3位の走りとなりました。脇山選手は「金メダルの中国選手は速かったです。(自分自身では)まだまだです。次の200mでは自己ベストを狙いたい」と話しました。また、木村選手は「スタートはまぁまぁだったと思いますが、50m~60mあたりでスピードが落ちてしまったのが残念です。」と話してくれました。
下肢障がいなどのT42・44クラスには、3選手が出場しました。ユース(U18)男子100mに出場した吉田知樹選手(T42・青森工業高校)は、14秒45の結果でした。「緊張しました。大きな大会でも力を発揮できる選手になっていきたいです。次の目標は13秒台を目指します」と話しました。地元青森は雪でなかなか外での練習が出来ず、ドバイの暑さにびっくりしていた吉田選手。昨年から本格的に競技を始め将来の夢はパラリンピックで金メダル獲得です。
ジュニア(U20)男子100mに出場した笠松大聖選手(T44・日本体育大学荏原高校)は、13秒07の結果でした。「体調は良いですが、少し緊張しました。メインのやり投げでは40m台が目標です」と話しました。同じくジュニア女子100mに出場した兎澤朋美選手(T42・日本体育大学)は、17秒69の結果でした。「全力で走る感覚が思った以上に違っていました。本調子ではありませんがしっかり幅跳びでは頑張りたい」と両選手ともに次の種目に気持ちを切り替えていました。
ユース(U18)で、100mと走り幅跳びに出場した鈴木海人選手(T12・筑波大学附属視覚特別特別支援学校)と100mに出場した青木涼選手(T36・広島エモーションクラブ)の両選手が揃って金メダルを獲得しました。鈴木選手は2種目に金メダルの活躍でした。鈴木選手は、100mを12秒89の結果に「もう少しタイムが良ければなお良かったです」とコメントしましたが、ガイドランナーの西田憲孝さんは「課題だった50m以降のスピードも今回は伸びていて良い走りだったと思います。本人にとっても収穫のある大会だったのではないでしょうか」と満足そうに話してくれました。初日最終種目となった走り幅跳びでは、最終跳躍で自己記録に迫る5m30で100mに続いての金メダル獲得。翌日の表彰式では笑顔で応援に来ていたご家族と喜びをわかちあっていました。
青木選手は、14秒81の結果に「メダル獲得はうれしいです。国際大会は初めてなのですごく緊張しました。来年の目標は自己ベストを更新することです。」と笑顔で話しました。
今大会の陸上競技選手団の主将を務める三須穂乃香選手(T47・日本体育大学)が100mに出場、主将の重責を跳ね除け、13秒45で金メダルを獲得しました。スタートのやり直しが2回あり、いつもは動揺しないと話す三須選手も「少し動揺してスタートが慎重になってしまいました」とレースを振り返りました。タイム的には今大会の目標としていた自己記録更新、シーズンベストには届かず、満足いく走りではなかったようですが、「気持ちを切らさないで走れた事は良かった。メダル獲得できてホッとしています」と笑顔で話しました。今後について尋ねると「帰国してからまたいちから鍛えなおして強くなっていきたい」と次に向けての目標に進む意欲を見せてくれました。
翌日の表彰式には、笑顔でメダルを受け取り、主将として最後まで表彰式に立ち会い、競技中も応援団長として他の選手に声援を送っていました。